富士山一周サイクリング

 

残暑お見舞い:ロードレーサー2台と富士山一周に挑戦した記録

2011年9月10日 午前6時40分 道の駅「ふじおやま」

道の駅「ふじおやま」

これは暑くなりそうだ、と晴れ渡った青空を見上げる。今日一日の長い行程を考えれば、ウヘッと言葉に出してしまいそうな陽気になるのは確実だ。

懸念は距離より登り坂である。事前に高低差付きのルートマップを見たところ、最初にガツン、最後にドカン、そんな感じの折れ線グラフだった。

しかし臆する気持ちは微塵もなかった。予想される苦しさよりも、今はこの澄んだ青空と、すでに汗ばみ始めた大腿でまたがる鉄のフレームがもたらすはずの燃焼と充実しか考えられなかった。

あえぎの代償
本当に初っぱなから登りが始まった。やがて先導するロードレーサーとの距離が広がっていく。後ろを走る年配のロードレーサーもちぎれてしまった。後はひとりで身体と対話しながら高度を上げていくだけだ。頭から噴き出した汗がボタボタとトップチューブに落ち、はじけていく。できることは多くはない。上腕に力を込め、ギリギリとペダルを回していくほかない。

必要なのはトルクより回転数というのがバイクのセオリーのようだ。しかし、この一日を通して感じたのは、少なくとも自分にとっては、トルク重視でペダリングした方が楽だということだ。キャンピング車にもなるランドナーの、極小インナーのためかもしれないが、登りではクルクル回す方が疲れる。

もうひとつ発見した登り坂の秘訣はというと、前を、つまり勾配の上をまったく見ないことである。ドロップバーの一番下を握って、前輪のあたりだけを見てひたすら漕ぐ。そして、ときおり前を見上げると、オーいつの間にこんな所まで登ったのか、と驚き、うれしくなる。これは本当に効果がある。つまり、登り坂という見てくれで、いかにヤラレているかということだ。登るしかないのだから、危険でない限りは、無視するに限る。

河口湖畔

富士五湖をかすめ、青木ヶ原樹海を抜け、朝霧高原、白糸の滝を巡った 140km あまりの行程。

2011年9月・富士山一周サイクリング(詳細へ)轍 Wadachi により作成】

スタート地点の道の駅「ふじおやま」に戻ってきたのは、既に日がとっぷりと暮れた19時過ぎであった。


5,199ビュー

Posted by movinow