



駅で待ち合わせて、父と母と墓参りへ行った。二ヶ月ほど前に退院した父は、その時は歩くのもままならなかったが、改札口から出てきた姿は思いの外元気だった。母がが持参してきたアルミパイプと合成布でできた小さな折りたたみ椅子(たぶんアウトドア用)に座って休みながらバスに乗ってお寺に向かった。
彼岸の入りは明日ということで、今日はお寺に人気はなかった。昼前から降り始めた雨が苔むした石像を湿らせていく。強い風も吹いたが、本降りにはならない弱い雨だ。お寺の軒先では水鉢の蓮が花を開いている。繁華街から歩いて行ける距離なのに、ここは流れている空気・時間が別物だ。ここには時間が堆積していた。単に時間を経ているというだけではない。人の手によって丹精を込めて守られてきた場所だ。
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