天上の楽園

苗場山 (2,145m)で天上の楽園、地上の極楽

巻機山(まきはたやま)に登った次の日の朝、久しぶりに睡眠時間がたっぷりとれて頭はスッキリ、しかし起きてみると何となく腰に痛みを感じました。

以前、足首に痺れが出て走れなくなり、整形外科でMRIで検査したところ椎間板ヘルニアの診断を受けたことがあります。

数ヶ月で痺れはなくなり、その後は元通り走ることができるようになりました。最近では30kmを走った翌日でも腰に違和感は出ていません。

やはり昨日の登山で普段使わない筋肉を酷使した影響だと思われます。登りよりも下りの方が足腰にきますね。疲れて脚のバネがなくなると、下りで着地する衝撃がモロに身体に響くということは、かつて70kmほどの超長距離ランを走ったときに骨身にしみました。

まあ、朝風呂を浴びて、朝食を食べる頃には腰の違和感も消えたので一安心です。

2台のクルマで、苗場山・小赤沢三合目の登山口を目指します。山間の細い舗装路をひた走り、目的の駐車場に着いたのが10時過ぎでした。

空に雲は多いですが、明るい日射しもあり、天候には恵まれたようです。

苗場山・三合目登山口

iking Activity 9.48 km RunKeeper

苗場山1

苗場山2

前日の雨の影響か、ぬかるんでいる箇所が多かったですね。

顔のまわりをブンブン飛び回るのはブヨではなく、よく見ると大型のスズメバチでした。ここでは間違いなく私が侵入者なので、「スミマセン通らせて頂きます」という気持ちで顔を伏せてソソクサと通り抜けます。

苗場山3

苗場山4

ときおり開けた場所に出て青空と見晴らしに心を奪われていると、10分後には白い霧で何も見えなくなるといった塩梅で、山の天気はあっという間に変わるのだということを実感しました。

苗場山5

途中にはクサリ場があり、手ですくって飲める冷たい水場があり、これまで山にあまり登ったことのない私にはどれもが新鮮な体験でしたね。

今回の計画は登山の経験者である同行者に任せっぱなしで、私はただ後ろを付いて歩いただけだったのですが、何も下調べなしという一種の怠慢が、予想外の喜びにつながりました。

苗場山の高層湿原入り口

この青空につながるような道の向こうは、苗場山の山頂付近に広がる高層湿原となっていたのです。そこには、陳腐な表現かもしれませんが、まさに天上の楽園と呼ぶにふさわしい光景がありました。

天上の楽園

苗場山の高層湿原1

苗場山の高層湿原3

苗場山の高層湿原7

苗場山の高層湿原4

苗場山の高層湿原5

苗場山の高層湿原6

わざわざ重い一眼レフを担ぎ上げた甲斐があったというものです。時おり数人の登山者とすれ違うだけで、他には小鳥のさえずりと風の吹く音しかしない静かな木道をゆっくり歩いて写真を撮りました。

しばらく歩いて、ふと前を見ると木道が残雪の中に消えています。ここを進む必要があるようです。

残雪の上を進む

残雪をザクザクと踏んで進んだ先に山小屋がありました。

苗場山・山頂の山小屋

小屋脇の木製のベンチに腰掛けて昼食とします。クルマで来る途中でやっと見つけて立ち寄ったコンビニのおにぎりを3つ食べて、水筒の水を飲みました。

コンビニのおにぎりだろうと、ただの水道水だろうと、この状況で口にすればどんな名店の高級料理よりおいしいという主張は、経験者であれば納得していただけるでしょう^^

少し離れた広場に苗場山・山頂の標識がありました。

苗場山・山頂

にわかに上がってきた雲で見晴らしがまったくなかったのは残念でしたが、すでに15時近くになっていたので長居はできません。登ってきた道を考えると、下りだとしてもそんなにペースは上がらないはずです。

帰り道はカメラもザックに収めて黙々と下ります。時刻が遅いこともあり、他の登山者とすれ違ったり、追い越したりすることはありませんでした。

前日の巻機山と同じように、下りでは何度か滑って背中から落ちるような目にもあいましたが、薄暗くなるまでには駐車場に戻ることができました。

いつの間にか雨が本降りとなっています。

近くの小川で泥だらけのシューズを洗い、小赤沢温泉に立ち寄って茶褐色のお湯につかりました。山頂の高層湿原が天上の楽園ならば、こちらは地上の極楽といったところでしょうか^^

途中の赤城高原SAで味噌ラーメンなどを堪能しつつ、東京に戻ってきたのは日付が替わりそうな時刻でした。

 

二日にわたって日本百名山に数えられる名峰に登ってみて、山はすばらしいなという思いと、山は厳しいなという思いが半々にあります。

かつて自転車ツーリングで使用したゴアライト(テント)などのキャンプ用品がまだ残っていますし、トレイルランという走り方にも興味があります。ひとりで山に行ってみようかなという気持ちがちょっと芽生えています。

ザックを背負って山道を歩いてみて、高校生くらいのときに図書館で借りて読んだ「遊歩大全」の興奮を思い出しました。背負ったバックパックだけを頼りにウィルダネスを自由に流離うというスタイルには強い憧れがありました。実際にはバックパックを背負って旅することはありませんでしたが、何でも自分の力でやってみようというライフスタイルにつながっているのかもしれませんね。

 

 

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山行

Posted by movinow