中トロ刺身、菜の花と卵の炒め物、ふきの煮物、芹ご飯、アサリの味噌汁
昨日の墓参りの帰り、駅のデパ地下にある食品売り場で、母がお土産だといって買ってきたのが、中トロの刺身だった。1パック 1,000円以上の、自分では絶対に買わない代物だ。
前夜にマグロ赤身をしこたま食べたこともあり、まるで食指は動かない。刺身なので日持ちもしない。これは困った。
実家に帰るたびに、あれやこれやと持って行けとうるさい母である。荷物が重くなるからいらないといっても聞く耳を持たないかのようだ。贈り物をする相手の都合や嗜好を、まるで考えていない自分勝手さに、昔は腹を立てたものだが、この頃は、まぁ仕方ないかと諦めるのも親孝行かなと思うようになった。
その高級刺身をやっつけるのに匹敵する品物を考えていたら、旅館のような夕食になってしまったという記録である。
中トロ刺身にぶつけるのは、『旬』の食材四連発である。『ふき』『芹』『菜の花』『アサリ』。
この時期でなければ食べられない! この季節だから美味しい! 旬だからこそ安い! そんな面々だ。
まず『ふき』は塩で板ずりをした後、たっぷりの熱湯で2分間茹でる。茹で上がったら冷水にとり、完全に冷やす。
次に、包丁の刃元を使って皮をむく。一本一本地道にこなす。この工程が今日のメインイベントであった。時間と手間がかかった。
適度な大きさに切り分け、水 400ml、本だし小さじ1、醤油小さじ1、酒大さじ1、みりん大さじ1を沸かせた鍋で2分間煮る。ふきを取り出し、ザルの上で冷やす。煮汁はボールにあけ、流水で冷やしておく。どちらも冷えたら、タッパウェアに入れる。
続いて『アサリ』は味噌汁にして、『菜の花』は卵1個と炒め合わせる。
ご飯が炊けたら、茹でて細かく刻んだ芹と少々の塩を混ぜて、芹ご飯の完成だ。
最後はお刺身を冷蔵庫から出し、パックから皿に移すだけ。あー疲れた。
ふきの煮物は手間がかかったが、とても美味しく、色よく仕上がった。子供の頃に食べ親しんだふきの煮物は、もっとクセがあったが、今日のものはほとんどアクが感じられなかった。
芹ご飯は初めて作ったのだが、これは芹を最も美味しく食べる方法のひとつに違いないと確信した。香りが素晴らしい。味にクセがあるわけではないので誰にでも楽しめると思う。
この季節のアサリは大きさも、身のつまり具合もひと味違う。旬のうちに、パスタでも思いっきり使わねばもったいない。
肝心の刺身は、さすがとしか言いようがない旨さだった。牛肉の霜降りはちょっときつかったけれど、マグロであれば大丈夫だ。
ひとり暮らしの晩飯で、こういうメニューを毎晩作るのはナンセンスだが、たまには良いね。旬を狙えば、オサイフにも優しいという意味では、ひとり暮らし向きな側面もあるのだと思う。時間に余裕のある、休日の前夜などにいかがなものかなと。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません