【死を垣間見た!?】通勤ランで帰宅・ハラスとゴボウとマイタケのパスタ
今夜の嵐は『爆弾低気圧』という言葉で報じられている。しかし実際に体験してみると、そんな言葉でさえ生ぬるいと感じさせるようなものすごいものだった。
午後三時過ぎには、夕方から天気が大荒れるなるので、家が遠いものは早退するようにという通達が流れた。じきにちらほら電車の運行止めの情報が回り出したが、私はあまり気にしていなかった。
「どうやって帰るの?」と聞かれるたびに「走って」と答えた。決まって相手は「え~」という反応だが、通勤ラン歴15年の私にしてみれば「え~」という要素はない。雨でずぶ濡れになるのを前提に装備するし(といっても背負ったランバッグの中身をコンビニ袋に入れるだけだが)、嵐の中を走るのは気持ちが高ぶっていつもより楽に感じられるものだ。そう考えていた。会社を出るまでは。
会社の通用口から一歩出て、どうやら思い違いをしたのかもしれないと思った。風が強すぎて扉が閉まらない。どうにか扉を押し込んで外階段を降りる。会社の前は陸橋へのスロープになっているのだが、そこを登るのがとにかく大変だった。
身体を押し倒すような強風が斜め前から吹き付け、顔面に叩きつける放水のような雨で目が開けられない。ランキャップのひさしをつかんで押し下げてガードするが効果は薄い。何より驚いたのは、息ができないことだ。逆巻く強風で、口を開けて吸い込んでも肺に空気が入ってこない。冷たい雨で一瞬で体温が下がったことも相まって、パニックを起こしそうになった。
まだ20メートルも進んでいないので、会社に引き返そうかと思った。しかし私には大きな気がかりがあった。すぐにでも家に帰らねばならない。嵐が荒れれば荒れるほど、早く家にたどり着かねばならない。
なぜならベランダの窓をフルオープンにしたまま出てきてしまったのだ。
留守番をしているケインがベランダの様子をながめて、日向ぼっこができるようにと、外出時には網戸を閉めるだけで窓は開けっ放しにしてあった。住んでいるのが1階や2階ではないので、防犯上も問題なしという判断だ。
しかし去年の台風が来た日に惨事は起きた。
家に帰ってみるとケインの姿がない。部屋中探してもいない。ベランダを見て、あっと驚く。なんと網戸が外れてベランダ側に倒れているではないか。急いでベランダに飛び出すと、暗がりの中でケインがうずくまっていた。この時の顛末はこちらで。
同じ過ちを繰り返してしまった。こんなにひどい嵐なら、もっと早く帰るべきだった。身体を後ろ向きにしてどうにかスロープを登りながら思った。
陸橋を降りるとどうにか走れるような状況になった。家の近くまで来る頃には雨も止み、風は強いが、雲が切れて月が出てきた。
玄関を開けてケインの姿を見た時は心底ほっとした。今回は網戸が外れることはなかった。しかし網戸の下、ケインがベランダ監視時に横たわる枕は、吹き込んだ雨に濡れてずっしりと重くなっていた。
そんなこんなでスーパーにも立ち寄れなかったので、今夜は冷蔵庫にあるもので、いつものパスタだ。具材は鮭のハラス、ゴボウ、マイタケ。まず考えつかない組み合わせだが、それぞれはパスタの具として秀逸だし、クセがあるわけでもないので問題ないだろう。
少量のオリーブオイルで、ニンニク、唐辛子、ハラス、ゴボウ、マイタケの順番で炒めていく。
ハラスの身をほぐすように炒め、最後にマイタケを加える。パスタの茹で汁と胡椒を少々。茹でたパスタをあえて、パセリのみじん切りで完成である。
食べている最中は気にならなかったのだが、ハラスから出た油がすごい。クセのないサラサラした油なのだが、これは多すぎかも。どうもハラスは焼き網で焼いて、適度に油を落とした方が美味いような気がする。
ディスカッション
コメント一覧
ケインくんの武勇伝(?)が続き、ハラハラしていましたが…
今回も大事に至らずよかったです。いや、開腹手術は別ですが。
ハラスの油はすごいですよね。
とても美味しいのだけれど、やはり油。
かといって狭い(うちの場合)家で焼くと猫らが興奮するし、臭いも残るし…。ベランダで焼けるように七輪でも買おうかと思うこのごろです。
天候不順でランニング2日さぼっています。
その昔、1階に住んでいた頃、私もベランダで七輪をやった経験があります。
遠赤外線の作用で、ガスや電気とは別次元で美味しく焼けるそうです。意外なところでは、食パンが1分もしないうちに、見事にこんがりきつね色で中はもちもちと焼けて感動した覚えがあります。ただ油が落ちると煙が出るので、煙はすごいことになります^^;
石のように固い備長炭でやったのですが、着火するのに手間がかかったこと(底に穴が空いた鍋に炭を入れてガスレンジであぶり続ける)、炭が完全に温まるまでは中の水分が膨張して破裂することがあり、とても怖かったことなどもあり、2、3度やって、それっきりです。10年以上前のお話です。