飼い猫ケインが死にかけた話【詰まってどえらいことに】その2
いたずら猫ケインは一度、死にかけたことがある。その時の話の続きです。(前回はこちら)
嘔吐を繰り返すケインを布製のキャリアに入れて、呼び寄せたタクシーに乗り込む。病院の地図を印刷したものを渡すと、タクシーの運転手は住所をナビにセットして走り出した。
車中ではケインが時折、か細い声で鳴く。タクシーは河沿いの道を30分ばかり進んだ。
幹線道路が立体交差している敷地に建つ病院は、動物病院とは思えないほど立派な建物だった。
清潔な受付で名前を告げると、電話で連絡してあったのですぐに了解してもらえた。5分ほど待って、対応に出てきた女性の獣医にキャリアを託する。
待合室にあった猫雑誌をめくりながら待つ。天井の隅に設置されたモニターには、この病院がテレビで取材された時のビデオを流している。夜中にもかかわらず、受診を待つペットが他にもいた。
20分ばかり待っただろうか。先ほどの獣医に呼ばれて、腰くらいの高さのある診療台のある小部屋に招き入れられた。女性は、さばさばした、仕事を的確に手早くこなしそうなタイプに見えた。
レントゲンを含めて診療した結果、やはり何か異物を飲み込んで腸に詰まっている可能性が大である。今から緊急手術を行う必要がある。手術にはそれなりの費用がかかる。内容は、そんなことだった。
躊躇はなかった。ぜひ手術して下さい。ケインが吐き出した緑色の液体のシミがついたカーペットを思い出しながら、そう言った。
その日はケインを病院に残して、近くの駅まで歩いて、終電近い電車で家に戻った。
獣医からは、手術が終わり、麻酔から覚めるであろう朝方には、携帯電話に連絡を入れるということだった。
部屋に帰った時にはすでに日付が替わっていた。
腰を下ろして一息つくと、住み慣れた部屋が変わっていることに気づいた。とても強い違和感があった。ケインがこの部屋にきて半年あまりしか経っていなかったが、今ではケインの存在が、この部屋の一部となって分かちがたく結びついていた。
人が住まう部屋とは、そこの住人の心の中にあるのだと思う。私の中で、ケインがいない状態が続くことは想像できなくなっていた。そのことに初めて気付いたが、この夜だった。
いたずら猫ケインの運命やいかに。
次回へ続く。
ディスカッション
コメント一覧
し、手術?
したのでしょうか?
気になります。ドキドキ。
Ninja cat SASUKE を読んで、このブログでもイタズラ猫顛末記を書いてみようと思いました。
手術については…
次回を乞うご期待ください^^。
よく愛猫の死にかけた事をネタにかけますね。。
特に文末の『運命やいかに』って、
ちょっと神経疑います。
次のページを最後まで読む気もしませんが、誤飲は飼い主の責任ですから..
猫 吐く で調べて辿り着きましたが、
参考になるかとこのページだけ読みましたが、読むんじゃなかった。不快感しかない。
同じ猫を飼ってる身として、あなたの感性が全く理解できない。
コメントありがとうございます。
ブログの記述が不快に感じられたのであれば、ごめんなさい。
ただ、もしこのコメントを読む機会があるであれば、ぜひ「次回へ続く」も読んでみてください。
最後に、この記事を書こうと思った理由も書いてあります。
あれから6年の月日が流れましたが、ケインはいまも変わらぬパートナーです。
初めまして。うちの猫、毛玉を吐かないのキーワードで辿り着きました。
ずいぶん否定的かつ攻撃的なコメントの方がいらっしゃったので、私はそんな風に思わなかったのでコメントを残します。文面からは飼い主様の愛情と反省を感じました。
キーワードで辿ってくる人は、どんな情報でもとにかく情報が欲しい、沢山欲しい、そういう思いであちこち探していると思います。私にはこちらの記事の、猫さんの症状、飲み込んだ物の性状、術後の様子等々、具体的で読んで良かったと思っています。良い記事をありがとうございました。
Jさん こんにちは
そう言っていただけると嬉しいです。
訪れる皆さんは、飼い猫に関する心配事を抱えているのですね。
まさにその一助になればと思って書きました。
時系列で物語風に書いたので投稿が複数にわかれていますが、訪問者が投稿の要点をすぐに理解できるように、もう少しわかりやすくリライトしようと考えています。
コメントありがとうございました。