ケインがこの部屋に来た頃のこと、その1
2009年8月26日(水)
その日は、いつものように湿度の高い熱帯夜の中を通勤ランで家に向かって走っていた。太陽が出ていないぶん、靴の中までビショ濡れになるほどではないが、頭髪からランパンまで吸収できる限りの目一杯の汗を含んでいた。蒸し暑い熱帯夜を走るのは、日中の苛烈な太陽光を浴びながら走るより辛く感じる時もあるのだ。
家まであと 300mくらいという地点にさしかかった時だ。通りの向こうに小さな影を見つけた。どうやら猫が歩いているようだ。息せき切って運んでいた足を緩める。そのまま見過ごすには、その影はあまりにも小さかった。
その場でしゃがんでみる。小さな影はこちらをうかがいながら近づいてくる。
走っていると猫はよく見かけるが、こんなに小さい猫はほとんど見たことがなかった。野良の子猫はまず間違いなく人間を見ると一目散に逃げていく。しかし小さな影は物怖じせず近づいてくる。
やがて私の足下まで来た小さな影は、ニャンニャン細い声を上げながら身体をすりつけるようにグルグル回り始めた。クルマの往来に注意しながら、近くの駐車場まで子猫を誘導していく。
おまえはどこから来たんだ?
お父さんや、お母さんは?
足下でぐるぐる回り続ける子猫を抱き上げた。あまりにも軽く、それでいて生命力にあふれる小さな子猫、それがケインとの出会いだった。
ここにケインがこの部屋に来た当日に撮影した動画ある。
①はまるでピンぼけ。撮る方もそれどころではなかったのである。
②やんちゃ坊主ケイン。
偶然と気まぐれから始まった子猫との共同生活。
それは、お互いになれないことばかりで、刺激に満ちた毎日だった。
予想を遙かに超えた子猫のハイテンションに翻弄された日々とは?
まて、次号!
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