多摩川で怪魚にしてやられて唐揚げ祭り
多摩川、葦原のポイントにハゼ釣りにやって来ました。
空は降り出しそうな曇天ですが、約一週間前に買ったアオイソメが冷蔵庫に残っていたので、使い切るために来ました。
この日は朝9時前に満潮を迎えます。それを見据えて、早めの6時過ぎからの釣行です。
足元でハゼが釣れることは確実なので、投げ竿でも試してみます。アオイソメを一本がけにして、対岸近くまで投げて、ぶっ込んでおきます。
2.1Mの短竿も出して脈釣りで岸辺を探ると、小さいハゼのアタリが頻繁にあります。
何匹かの小さいハゼをかけて逃がしていると、見たことのない魚が釣れました。
とても小さいので写真だけ撮ってリリースしました。家に帰ってから調べると、コトヒキという魚のようです。
投げ竿にも、時々竿先を引っ張るアタリがありますが、上げてみるとイソメの先だけ囓られています。ハゼが突っついているようです。
ここ数回の釣行でハゼはたくさん釣ったので、もっと大きな魚を釣りたいと思い、投げ竿でぶっ込んでいるわけですが、そう簡単にはいかないようです。
やがて満潮近くになって、ひとりの白髪の老人がママチャリに乗って登場しました。
どうやら釣り人のようです。
私の釣り座の近くに自転車を停めて「横でやらせてもらうよ」と言い放つと、私の返事を待たず用意を始めます。
老人「何釣ってんの?」
私「ハゼです」
老人「そんなとこで、ハゼなんて釣れねえよ」
私「ハゼ、いっぱいいますけど」
老人はブツブツ独り言を言いながら、折りたたみ椅子を広げ、一本の投げ竿で釣りを始めました。コマセのようなものを撒いているので、おそらく鯉狙いでしょうか。
私がいるのは、葦原が20メートルくらい開けた場所のいちばん奥ですが、老人が椅子を広げてふんぞり返っているのは、私のごく近くです。「コロナ禍におけるソーシャルディスタンスとは?」を問いただしたくなるような不自然な距離感です。
やがてそこにもう一人の老人が登場し、声高に立ち話を始めます(ちなみに私も含めて全員がマスクは着用しています)「昨日は橋の下でクロダイが上がった」「雨に降られたが近くの団地の下で雨宿りした」など、話の内容からすると、どうやら老人はその近辺の常連釣り師のようです。
後から顔を出した老人に対して「竿持ってきなよ」としきりに勧め、また電話で他の誰かを誘っています。
老人「上の雲が通り過ぎれば、雨なんて降らないから、来なよ」
私が想像するに、この老人は、馴染みの釣り場に見知らぬ先客(私)がいたわけで、ちびブルーギルのようなざこい縄張り意識から、仲間を召喚して個体数で縄張りを主張しようとしているようです(すべて私の妄想です)
やがて雨が少し強くなると、仲間の召喚に失敗し、水によく溶けるトイレットペーパーのようなペラい忍耐力を持つ常連釣り師(これも、もちろん私の妄想です^^)は、そそくさと竿をたたんで退場していきました。
魚釣りには、魚の食い気ではなく、魚の縄張り意識を利用した釣法があります(鮎の友釣りや、バスのルアー釣りの一部など)
しかし、釣り人の過剰な縄張り意識だけは、まるで利用価値のない「猫またぎ」に違いありません。
多摩川で竿を出していると、ほぼ毎回、声をかけられます。
例えば、ある日、通りがかりのご夫婦らしき二人との会話は、こんな感じでした。
男性「ここで何が釣れるんですか?」
私「ハゼです」
男性「へえー。私も釣りをやるのですが、ふなづりばかりです」
私「(フナ釣りといえば)ヘラですか」
男性「いえ、船釣りです。アジとかですね」
私と男性(笑)
そんな他愛のないやりとりと出会いです。
同じ多摩川で行うアクティビティでも、ランニングやロードバイクでは、声をかけられることはめったにないので、これは魚釣りの特異な面のひとつと思えます。
さて、雨は降ったりやんだりしながら、潮は引いていきます。
小さいながらもハゼは数が釣れました。
懸念のアオイソメはすべて使い切ったので、短竿では1個だけ持ってきたボイルホタテを使いました。
干潮が近づき、だいぶ水位が下がったので切り上げようと思ったのですが、投げ竿に未練があります。
投げ竿につけられる餌はないかと、背後の木の根元をほじくり返してみますが、コガネムシの幼虫が3匹出てきただけで、ミミズはいません。
コガネムシの幼虫でもイケるのかなとスマホで検索してみたりしたのですが、あることを思い付きました。
手元には釣ったばかりの数十匹のハゼがあります。
クーラーの中で死んでしまった小さいハゼを鈎につけて投げ込んでみます。
のべ竿はたたんで、投げ竿一本にしぼります。
干潮を過ぎて、なんとなく水位が上がってきました。
こんなのでは、やはり何も釣れないか、と諦めかけた頃、道糸がゆっくりと張り出しました。
風も流れもほとんどないので、何かしらが引っ張っているのは確実なように思えました。
合わせてみます。
根掛かりしたような手応えがありましたが、すぐに外れました。戻ってきた鈎先を見ると、
これは明らかに、何かに囓られたあとではありませんか。
すぐにもう一匹のハゼを鈎につけて、ぶっ込みます。
そしてこれまた諦めるかけるほどの時間が経ったあと、再び道糸が張り始めました。
今度はじっくり時間をかけて送り込みます。そして聞き合わせの感じで、ゆっくり竿を立て、リールを巻いてみます。
何かがついている重みを感じます。しかし、魚のような引きはありません。
「亀?」
亀を釣った経験はありませんが、その鈍重な手応えからそう思ったのです。
しかし、川幅の半ばくらいまでゆっくり引っ張ってきたときに、一気に手応えが変わります。
いきなり、グググーッときました。それは明らかに魚類の強烈な引きです。
急いでドラグを緩めます。得体の知れない何かは、ラインをゴンゴン引いて、走って行きます。
使用タックルは、いつ購入したか忘れた、RYOBI の 2.4M 小物振り出しロッドに小さなスピニングリールです。巻いてあるラインはたぶん3号だと思われます 6lb(1.5号)です。ハリは丸セイゴ 12号、ハリス3号。力任せに巻いたらすぐに切られそうなので、強い引きがくるたびに、右手で糸をリールから引っ張りだしてこらえます。
特徴的だったのは、常に暴れているわけではないことです。ゴンゴン引いたかと思うと、根掛かりしたかのように動かなくなります。それは、まるで大きな亀が川底で踏ん張っているような感じです。
たっぷり 20分ほど格闘した後、川底の泥を巻き上げた土煙の間から、何かの白い腹?のようなものが見えました。
「ナマズ?」
ナマズも釣ったことはありませんが、ナマズが鈎をはずそうと水中でローリングしているように見えました。
さらに5分ほどの格闘を経て、どうにかすぐ目の前まで引き寄せることができました。
そこで鈎がかりした「何か」の正体が判明します。
それは「大きなアカエイ」でした。暴れるたびに、とがった尻尾が水面から飛び出すのが見えます。
その時私が感じたのは、失望と恐怖でしょうか。
アカエイの尾には、強烈な毒を持つ棘があることは知っていました。食べれば美味しいという話もありますが、とても調理工程まで持って行く勇気はありません。
幸いにも足元がスロープになっているので、どうにかズリ上げて、写真だけ撮ってから糸を切って逃がそうと考えました。
覚悟を決めて、川底にへばりついて抵抗を続けるアカエイに、最後の勝負をかけようと竿に力をこめた瞬間です。
ハリスが切れ、その反動でラインは重りもろとも背後の茂みに吹っ飛んでいきました。
残念な気持ちはありましたが、正直、ホッとした気持ちの方が強かったですね。
そこで終了です。
この日の釣果は、ハゼ 30匹、コトヒキ3匹(リリース)でした。
ハゼは頭と内臓を取り除き、よく洗ってから水気を拭き取ります。
帰りに立ち寄ったスーパーで、面白い唐揚げ粉を見つけました。味覇の唐揚げ粉です。今日はこれを使って唐揚げにしてみます。
ついでに解凍した鶏胸肉も一緒に揚げて、唐揚げ祭りです。
下処理をしたハゼ、鶏胸肉、味覇から揚げ粉、水、揚げ油、レタス、トマト
鶏胸肉は、大きめの一口大に切り分けました。
唐揚げ粉をボールに入れて所定量の水で溶くと、この時点でニンニクの香りが強くします。
ハゼに衣をつけて、170度の油で揚げていきます。揚げると、よりいっそうニンニクの香りが立ちます。
ハゼを何回かに分けてすべて揚げたら、続けて鶏胸肉も揚げていきます。
とても一人では食べきれない量の唐揚げができました。
とりあえず食べられそうなくらいの唐揚げを、レタス、トマトと一緒に皿に盛り付けてできあがりです。
まず鶏胸肉の唐揚げです。
これは間違いなく美味しかったです。ちょっと濃いめの味付けですが、ご飯がススムおかずです。
次にハゼです。
これは調理中から予想できたことですが、ハゼの旨味をすべて上書きする味覇風味です。
不味いわけではなく、美味しいのですが、ハゼを味わうのには向いていないようです。
ちなみに、これは誇張ではなく、この唐揚げ粉の揚げ衣だけで、十分におかずになります^^;
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